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生活保護の基礎知識①生活保護ってどんな制度?
生活保護は8つの種類の扶助でできている
前回、生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するものだと書きました。
これは、単に衣食住があるだけではなく、教育や医療を受けることや、職業に就くために必要な技能を習得することなども、権利として保障するということです。
生活保護には、以下の8つの種類の扶助があります。
- 生活扶助・・・食費、光熱費、衣服費など
- 教育扶助・・・義務教育の費用
- 住宅扶助・・・家賃、住宅の修繕費など
- 医療扶助・・・病気・ケガの治療費など
- 介護扶助・・・介護に必要な費用
- 出産扶助・・・出産のための費用
- 生業扶助・・・職業のための技能習得などの費用
- 葬祭扶助・・・葬儀に必要な費用
原則、医療扶助と介護扶助は現物給付、そのほかの扶助は金銭給付です。
このほかに、在宅で生活を送ることが難しい人が施設に入所して保護を受ける“入所保護”があります。
1.生活扶助
内容
- 衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの
- 移送
移送は、保護世帯の高齢者が施設に入所する場合などにかかる移動費用を指します。
加算
世帯に妊産婦や障害者、介護の必要な人などがいる場合は、加算がつきます。
- 妊産婦加算
- 障害者加算
- 介護施設入所者加算
- 在宅患者加算
- 放射線障害者加算
- 児童養育加算
- 介護保険料加算
- 母子加算
このほか、12月に支給される期末一時扶助費や、暖房費のかかる季節に地域別に支給される冬季加算などがあります。
2.教育扶助
内容
- 義務教育に必要な教科書・学用品
- 義務教育に必要な通学用品
- 学校給食その他義務教育に必要なもの
ノートや鉛筆、画材、学生服、通学かばん・自転車などを買う費用や、給食費、学級費などが支給されます。
※高等学校での教育にかかる費用は含まれず、生業扶助の技能習得費で支給されます。
3.住宅扶助
内容
- 住居
- 補修その他住宅維持のために必要なもの
家賃・地代や宿泊施設の利用費、修繕費用などが支給されます。
転居に必要な費用は?
やむを得ない事情や合理的な理由があるときで「転居に際し敷金等を必要とする場合」は、住宅扶助として敷金等が支給されます。
- 入院していて家のなかった人が、退院時に新たな住まいに移るとき
- 福祉事務所などの指導があり、現在より家賃などが低額の住宅に移るとき
- 退職などにより社宅から転居するとき
- 老朽・破損などにより住むのに堪えないと認められたとき
- 離婚により新たな住まいに移るとき
4.医療扶助
内容
- 診察
- 薬剤、治療材料
- 医学的処置、手術その他の治療や施術
- 在宅での療養上の管理や看護
- 入院及びその療養に伴う世話や看護
- 移送(病院への交通費など)
医療扶助を受けるには
医療が必要な場合は、福祉事務所などに申し出て医療券を発行してもらいます。
福祉事務所が委託した指定医療機関に医療券を提示すると、自己負担なしで治療を受けることができます。
5.介護扶助
内容
- 居宅での介護
- 福祉用具
- 住宅の改修
- 施設での介護
- 介護予防、介護予防福祉用具・住宅改修
- 移送(介護保険施設への移動費など)
介護認定を受けるには
介護が必要な状態にあるかどうかは、自治体の介護担当の窓口で介護認定の申請をし、認定を受けます。
要介護者は要介護1~要介護5の5段階、要支援者は要支援1または要支援2の2段階の計7段階です。
要介護5が最も重く、要支援1が最も軽い状態です。
6.出産扶助
内容
- 分べんの介助
- 分べん前・分べん後の処置
- 衛生材料(脱脂綿、ガーゼなど)
死産や流産も出産扶助に入りますが、人工中絶は医療扶助になります。
7.生業扶助
内容
- 生業に必要な資金、器具または資料
- 生業に必要な技能の習得
- 就労のために必要なもの
商売を始めるための運転資金や、資格を取得するための学費、就職が決まったときに購入する服や靴などが対象になります。
高等学校への就学は生業扶助から給付される
高等学校の学費や教材費などは、教育扶助ではなく生業扶助により支給されます。
8.葬祭扶助
内容
- 検案(医師に診てもらっていない人が死亡した場合などに、死因を調べること)
- 死体の運搬
- 火葬または埋葬
- 納骨その他葬祭のために必要なもの(棺、位牌、祭壇、読経、死亡診断書など)