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生活保護の基礎知識⑥申請書の書き方は?何を書くの?
目次
生活保護を受けている間に就職が決まったら
「生活保護を受給している間に就職活動をし、無事に仕事が決まった。これで一安心だけど、保護費はすぐに打ち切られてしまうの?」
就職した場合に、保護費の支給はどのようになるのでしょうか。
状況に応じて、①減額、②停止、③廃止 の3つのケースが考えられます。
収入<最低生活費のままなら、減額
ほかの記事でも何度か書いたとおり、生活保護は、世帯の収入が最低生活費を下回っている場合に、足りない分を支給する制度です。
よって、就職が決まったとしても、収入が最低生活費より少なければ、今もらっている生活保護費の額から収入を差し引いて減額した金額を、保護費として引き続きもらうことができます。
(収入の分だけ保護費を減額して支給します)
収入がすべて引かれると、働くモチベーションがなくなるのでは?
せっかく働いて10万円の収入を得たとしても、保護費から10万円引かれてしまうのなら、働く意欲がなくなってしまうかもしれません。
そこで、生活保護制度では、就労収入をすべて引くのではなく、基礎控除といって、一定の額を手元に残せるようにしています。
例えば、最低生活費が13万円で、10万円の就労収入がある人に2万円の基礎控除がつく場合、
保護費=最低生活費13万円―(10万円―2万円)=5万円 となるので、
月の生活費=就労収入10万円+保護費5万円=15万円となり、
就労収入がないときよりも、生活費を2万円多く残すことができます。
収入>最低生活費になったら、停止してしばらく様子を見る
では、収入が最低生活費を上回った場合はどうなるでしょうか。
たとえば、最低生活費が13万円で、就労収入が15万円の場合、
最低生活費13万円―収入15万円<0円 なので、生活保護費は支給されません。
しかし、収入が上回ったらすぐに打ち切るわけではありません。
すぐに失業してしまったり収入が下がったりすることもあり得ます。働き始めてすぐに生活が安定するとは限らないのです。
なので、生活保護は一定の期間、停止という扱いにして様子を見ます。
生活が安定し、保護の必要性が低くなったら廃止
保護を停止して生活が安定し、6ヶ月以内に再開する可能性が低いだろうと判断されると、打ち切り(廃止)となることが多いようです。
一度廃止してしまうと、再び保護が必要になったときに申請~認定までに時間がかかってしまうので、廃止は慎重に行われるようです。
焦って自分から保護を切る必要はありません
就職が決まったとたん、自分で福祉事務所に「生活保護をやめます」と言って打ち切る人もいますが、焦って自分から切る必要はないと思います。
上にも書いた通り、就職してすぐに生活が安定するとは限りませんし、福祉事務所への収入申告をきちんとしていれば、ちゃんと減額や停止の処理をしてもらえます。
せっかく打ち切っても、すぐに再び保護が必要になるかもしれません。再び一から申請すると、手間も時間もかかります。
まずは、ゆっくり仕事に慣れていくことを目指すのが良さそうです。