生活保護の基礎知識⑧住まいがない状態からでも申請できる?

前回の記事はこちら↓
生活保護の基礎知識⑦仕事が決まったら保護費は打ち切られる?

住むところがないと、生活保護は申請できない?

会社の寮に入っていたけど、仕事がなくなって出ることになった」
「”仕事が見つかるまで”という約束で知人の家に居候いそうろうしていたけど、”出て行ってほしい”と言われた」
「生活保護を申請したいけど、住民票は実家においたままネットカフェ生活。住所地でなくても申請できるのかな・・?」

さまざまな事情で住むところがなくなり、仕事や貯金もなく家を借りられない場合は、どうしたらよいのでしょうか。

住民票がなくてもホームレスでも、生活保護の申請はできる

住民票が今いる場所と別の住所にあっても、現在地げんざいち(今いる場所)の福祉事務所で生活保護の申請をすることができます。
ネットカフェで生活していたり、ホームレス状態であったりしても、申請できます。
生活保護の基礎知識⑥申請書の書き方は?何を書くの?

ただし、住まいのない状態で申請してすぐにアパートに入居するのはかなり難しいです。
入れるとしても、入居までの間は行政の運営する一時的な宿泊施設(無料低額宿泊所むりょうていがくしゅくはくじょなど。無料または低額で寝泊まりや食事ができる施設)に寝泊まりすることが多いようです。
働く意志と能力がある人(特に男性)は、自立支援じりつしえんセンターへの入所を勧められることもあります。

自立支援センターとは

ホームレスの人の多い都市部には、「自立支援センター」という、ホームレスの人向けの施設があります。

どんな施設なの?

ホームレスの人が仕事を見つけてアパートを借りられるようになるまで、一定の期間サポートする施設です。
およそ3~6ヶ月の間、無料で寝泊まりでき、食事や入浴もできます。
生活保護を利用せずに自立をしたい人のための施設です。

利用するメリットは?

就労支援を受けることができ、センターに入所しながら就職活動をしたり仕事に行ったりすることもできます。
家賃や食費がかからないので、早いうちに仕事を見つけることができれば働いて得た収入の多くを貯金し、アパートへの入居費用として貯めることができます。

デメリットは?

入所期間が決まっており、それまでに就労・貯金ができないと自力でアパートに入居することが難しいです。
東京都の調査によると、2000年~2017年8月末に自立支援センターを退所した人のうち、アパートが確保できたのは34%にとどまっているとのことです。
(参考:稲葉剛・小川芳範・森川すいめい「ハウジングファースト 住まいからはじまる支援の可能性」2018)

また、施設の多くは個室がなく、相部屋あいべやのところが多いようです。
見ず知らずの他人と数ヶ月生活をともにしないといけないので、コミュニケーションや集団生活が苦手な人にはしんどいかもしれません。

すぐにアパートで生活保護を受ける方法は?

自立支援センターに入らず、生活保護を受けるのは以下のような場合が考えられます。

  1. 病気や障害があり、働くのが難しい場合
  2. 高齢の場合
  3. 生活能力が十分にあり、自立支援センター入所を望まない場合

1.病気や障害があり、働くのが難しい場合

生活保護には、アパートなどで保護を利用する居宅保護きょたくほごのほかに、施設に入所して保護を利用する施設保護しせつほごがあります。
病気や障害があり居宅での生活が難しい場合は、いったん生活保護の施設に入所し、生活の状態を見てからアパートに移行します。

2.高齢の場合

生活に問題はないものの、年齢により自立支援センターを利用できない場合は、生活保護を申請できます。
ただし、ホームレス状態で申請すると、福祉事務所の職員に「ホームレスだったということは、この人の生活に問題があるのではないだろうか。アパートに入っても家賃を滞納したり勝手に出て行ったりしないだろうか」と思われる可能性が高く、施設入所を勧められることも多いようです。

3.生活能力が十分にあり、自立支援センター入所を望まない場合

ホームレス状態になる前に一人暮らし経験があるなど、生活能力が十分あり病気や障害もなく、住まいさえ確保できれば施設に入らなくても自立して生活できる人もいるかと思います。
しかし、行政の対応では「働く意志と能力があるなら自立支援センター、働けないなら生活保護の施設」のどちらかになってしまうことが多いようです。

すぐにアパートに入って生活保護を利用したい場合は、民間のホームレス支援団体などに相談し、先にアパートを探してから福祉事務所へ生活保護の申請に行くというのが、今のところうまくいく可能性が最も高いと思われます。