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職業訓練体験記⑨就活のサポートはどのくらいしてもらえる?
目次
採用試験では、コンパクトに自分をPRすることが必要
転職活動では主に、1.履歴書 2.職務経歴書 3.面接 により、採用されるかされないかが決まります。
応募先の企業には、1件の求人に対して何十人・何百人も応募していることもあるので、短い時間で的確に自分をPRできるかがカギとなります。
履歴書や職務経歴書は紙1枚、面接は1つの質問に1分程度に自分のことをギュッと絞り込んでまとめなければなりません。
しかし、学校を出て何年か働いてきた経験を、コンパクトにまとめるのは難しいものです。
そこで、どんな力や経験をアピールするかをあらかじめ絞り込んで考える必要があります。
その目安となるのが、経済産業省がまとめている「社会人基礎力」というものです。
「社会人基礎力」とは?
社会人基礎力とは、業種や職種、経験に関係なく、社会人としてできるだけ早く身につけておく必要があると考えられる、広く求められる基礎スキルです。
「前に踏み出す力」(アクション)、「考え抜く力」(シンキング)、「チームで働く力」(チームワーク)の3つの能力と、「主体性」「課題発見力」「発信力」などの12の要素から構成されています。
経済産業省が2006年に提唱したものだそうです。私は、職業訓練の授業で初めて知りました。
- 社会人として早くから身につけておいたほうが良いと考えられる、基礎スキル
- 「前に踏み出す力」(アクション)、「考え抜く力」(シンキング)、「チームで働く力」(チームワーク)の3つの能力と、12の要素から構成
- 2006年に経済産業省が提唱
前に踏み出す力(アクション)
「前に踏み出す力」とは、一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力のことで、次の3つの要素でできています。
- 主体性
- 働きかけ力
- 実行力
自分から進んでものごとに取り組む力
ほかの人に働きかけ、巻き込んでいく力
やると決めたことを確実に実行する力
面接では、「これまでの仕事でうまくいかなかったことを教えてください」というふうに失敗体験を聞かれることがあります。
面接官が聞きたいのは「失敗したことがありません」でもなく、「うまくいかないと判断したので見送りました・あきらめました」でもなく、
困難をどのように乗り越えたのか、まわりの人に協力を求めたり、最後まで粘り強く挑戦したりできる人なのかということです。
前に踏み出す力は、失敗を乗り越えたエピソードとともに説明できると良いでしょう。
考え抜く力(シンキング)
「考え抜く力」とは、疑問を持ち考え抜く力のことで、次の3つの要素でできています。
- 課題発見力
- 計画力
- 創造力
現状を分析し、目的や課題を明らかにする力
課題解決に向けたプロセスを明らかにし、準備する力
新しい価値を生み出す力
世の中は目まぐるしいスピードで変化しています。単純な作業や仕事は機械やコンピュータでできるようになり、これまで人間がしていた仕事はどんどん減っていくでしょう。
新しい価値やサービスを生み出していかないと、会社もそこで働く人も生き残っていけません。
今あるサービスや仕事のやり方などに疑問を持ち、よりよくしていく力が求められます。
探してみれば、小さなことであっても仕事をする中で「ここをこうしたらもっと良くなるのに」と思ったことが、一度はあると思います。
そのように疑問を持ち、解決に向けて工夫した経験があれば、自分の「強み」や「工夫したこと」「チームで取り組んだこと」としてアピールできるでしょう。
チームで働く力(チームワーク)
「チームで働く力」とは、多様な人々とともに目標達成に向けて協力する力のことで、次の6つの要素でできています。
- 発信力
- 傾聴力
- 柔軟性
- 情況把握力
- 規律性
- ストレスコントロール力
自分の意見をわかりやすく伝える力
相手の意見をていねいに聴く力
意見や立場のちがいを理解する力
まわりの人やものごととの関係性を理解する力
社会のルールや人との約束を守る力
ストレスに対応する力
転職活動では、チームで働く力こそが最も重要視される力だと思います。
仕事は、自分一人で最初から最後までやることはほとんどありません。同僚や上司、ほかの部署の社員、取引先の人、お客さまなど、さまざまな人と関わりながら働きます。
転職して新しい会社に入るということは、すでにできあがっているチームの輪の中に入っていくことでもあります。関わる人の全員、とまではいかなくても、できるだけ多くの人とスムーズにコミュニケーションができる人を会社は求めています。面接で話す内容はもちろん、服装や表情、立ち振る舞いや話し方も含めて「みんなとうまくやっていけそう」という安心感を持ってもらえるようにすることが大切です。
また、この力の中に「ストレスコントロール力」が含まれているのも大切なポイントです。
仕事のストレスの多くは、人間関係を原因とするものだと思います。
一緒に職業訓練に参加していた人の中にも、「上司とどうしても合わなかった」「同僚にひどい嫌がらせをされた」ということが決定的になって転職を決意したという人が何人かいました。
転職活動での面接では、「コミュニケーション」と「ストレス」については、必ずと言っていいほどよく聞かれます。
「人間関係が原因で仕事をやめました」と面接で言ってしまうと、自分はまったく悪くなくても「この人は、人間関係でうまくいかないとストレスを感じてやめてしまうかもしれない」と思われてしまうでしょう。
なるべく多くの人と気持ちよく働けるように、相手の立場や意見を理解したり、わかりやすく意見を伝えたり、ストレスを感じてもうまく自分でコントロールして関係を悪化させないようにしたりした経験をアピールできると良いでしょう。
専門知識や社内スキルは、後からついてくる!
こうして見てみると、転職活動で求められる力は専門性や業務そのものの経験よりも、仕事をする姿勢やコミュニケーション力であることがわかります。
基礎力があれば、専門的な知識やその会社ならではのスキルは入社後にいくらでも身につけることができます。
「新しいチームに入ってまわりに溶け込み、なるべく早くみんなに追いつけるよう努力できる」ということを、これまで仕事をしてきた経験の中から見つけてアピールできるよう準備することが大切だとわかりました。
参考 社会人基礎力経済産業省