ダニエル・J・シーゲル著『脳をみる心、心をみる脳:マインドサイトによる新しいサイコセラピー 自分を変える脳と心のサイエンス』を読む。
脳の仕組み、セラピーやトラウマ治療の流れ、愛着についてなど、理論から実践まで盛りだくさんのボリューム。
それでいて、臨床例を豊富に、平易な文章で丁寧に書かれているので、読みやすかった。
この本に出てくるセラピーの事例の中に、「安全基地」を思い浮かべるというものがある。
私自身、以前カウンセリングに通っていたときに、同じようなワークをやったことがある。
まず、自分にとって安全な場所(お気に入りの場所や、ほっとできる場所)を思い浮かべる。
そして、そこにいる自分をイメージし、身体感覚を言語化してみる。
私が思い浮かべた場所は、自分の家にあるソファーの上だった。
横になったときの、自然に身体の力が抜け、全身を預けているような感覚。
布地のさらっとした肌触り。
窓から入ってくる風と、外の静けさ。
天井を見上げると、これまたお気に入りの照明が下がっているのが見える。
視覚、聴覚、触覚など、さまざまな感覚を使ってその場にいる自分をイメージし、言葉にしていった。
こうやってイメージをすることで、身体で「安全」を確認し、「いつでも安全な場所に戻れる」という感覚を得られる。
ほかにも、プールでゆっくり泳いでいるときの感覚や、お気に入りのスイーツの甘さや食感などもイメージした。
「こんなことでストレスから解放されるの?」と思われそうだけど、ストレスに押しつぶされているときって無意識に身体がこわばったり息苦しくなったりしているので、
意識的に安全な感覚を取り戻すことができるようになると、自分を楽なほうへコントロールしやすくなると感じた。
心が苦しいときは、まず身体からアプローチしてみるのが良いようだ。