心理学のイメージ
「人の心がわかる」「自分の心が見抜かれてしまうのではないか」
⇒心理学を学んだからといって、よく知らない人々のことを即座に理解できると思うのは誤り
心理学の目指すもの
⇒科学的・主観的な手法に基づいて、人間全般の心や行動の原理(法則性)を見出すこと
心理学の歩み
哲学を源流としているが独立した学問としては比較的新しい。19世紀以降に発展した生物学や生理学、物理学の理論や方法を借りて発展していく。
「心理学」という学問が誕生したのは、1879年。ヴント(1832-1920)が、ドイツのライプツィヒ大学に心理学実験室を設立した年と言われる。
それよりはるか以前から、人間は演劇や詩、哲学や文学などを通じて人の心や行動を理解しようとしてきた。しかし、科学性や実証性が乏しかった。
・古代ギリシアのアリストテレス(紀元前384-紀元前322)
「万学の祖」と呼ばれる中、心にも関心を寄せる。
・フランスのデカルト(1596-1650)
「心(観念)の一部は生得的に備わっている」と主張(理性主義・合理主義)
⇒後のアメリカの言語学者チョムスキー(1928-)が提唱した言語習得理論に影響。
チョムスキーは「人間には生まれながらに言語を習得する能力が備わっている」と主張した。
・イギリスのロック(1632-1704)
「人間の心はもともと白紙(タブラ・ラサ)であり、その後の経験によって観念が書き込まれていく」
⇒後にワトソンの行動主義や学習の連合理論に引き継がれていく。
このほか、イギリスのダーウィン(1809-1882)が提唱した進化論も、心理学(特に比較心理学)の成立に大きな影響を及ぼす。
20世紀以降の心理学
20世紀前半
・ドイツでゲシュタルト心理学が誕生
・行動主義の台頭
⇒外から観察できる行動のみを取り上げることで、より科学的な学問を目指す
・フロイト(1856-1939)が精神分析を開始
20世紀後半
2つの大きな改革
・人間性心理学の登場
⇒人間を機械的・病的な存在ではなく成長可能性のある健全な個人としてとらえる
・認知革命
⇒コンピュータをモデルに、人間が情報を知覚・処理・記憶する仕組みを解明することを目指す
(続く)